【撤退基準の重要性】大和ハウス23道県撤退の真意|中小企業経営者が学ぶべき経営判断について徹底解説します
大和ハウス工業の23道県での新築戸建て撤退は何を意味し、中小企業経営者はそこから何を学ぶべきか?
需要と採算が見込める都市部に新築を絞り、リフォームや買い取り・再販などの住宅ストック事業は全国で強化するという判断です。中小企業が学ぶべき点は、伸ばす事業と絞る事業を数字で決め、どの数字になれば縮小・転換するかという撤退基準を持つことだとされています。背景には市場の縮小があります。
新設住宅着工は2025年度の約71万戸から2040年度には61万戸へ、持家は約20万戸から14万戸へ減る見通しです(2040年度の数値は話者がAIに予測させたものと説明)。新築の営業拠点は50カ所から13カ所へ集約され、既存オーナーへのアフターサービスは全国で続きます。
体制の変更日は2027年4月1日です。
篠﨑さんは判断軸として、
そのうえで、損益計画と連動した資金繰り表を金融機関に示せる会社はほとんどないと指摘しています。
この動画の要点(篠﨑氏の発言から)
しのざき総研の篠﨑氏は
『一言で言うと 選択と集中をやってるだけでしょ』
と指摘する(動画 1:28 付近/大和ハウス工業の23道県撤退のニュースを受けた、篠﨑さんの総評)
しのざき総研の篠﨑氏は
『だから別に彼らが お客を捨てたわけじゃないんですよ』
と指摘する(動画 2:10 付近/既存の顧客は全国規模で守ると表明している点に触れた発言)
しのざき総研の篠﨑氏は
『脅威を機会に変えるために どうするかだよ』
と指摘する(動画 4:45 付近/人口減少という脅威をクロスSWOT分析でどう捉えるかの解説)
しのざき総研の篠﨑氏は
『粗利がすべてなんだよ』
と指摘する(動画 21:33 付近/工務店は地域・価格帯別に受注残と工事別の粗利益を管理すべきだと述べた場面)
しのざき総研の篠﨑氏は
『売上が減っても、3年後に 利益と返済原資を残せるか』
と指摘する(動画 25:29 付近/結論で経営者に投げかけた問い)
よくある質問(この動画が答えていること)
Q. 大和ハウスの23道県撤退とはどんな内容?
A動画では、大和ハウス工業は人口減少や資材・人件費の高騰を背景に、地方を中心とした23道県で新築戸建て住宅事業から撤退すると紹介されています。
あわせて新築事業の営業拠点を50カ所から13カ所へ集約します。新築戸建ては需要や高所得層が見込める都市部に特化し、リフォーム、既存住宅の買い取り・再販、不動産仲介、賃貸管理といった住宅ストック事業は全国規模で強化する方針です。
篠﨑さんはこれを「選択と集中」(得意な分野に経営資源を集める戦略)だと要約しています。
Q. 撤退する地域で大和ハウスの家を建てた人のアフターサービスはどうなる?
A動画では、既存オーナーへのアフターサービスは全国で続けると説明されています。
既存住宅については、全国47都道府県の拠点を使って機能を統合します。新築戸建ては今後23エリアで展開し、組織と事業体制の変更日は2027年4月1日です。篠﨑さんは、「撤退」という言葉だけで判断すると顧客を見捨てたように見えると指摘しています。
全国規模で面倒を見ると表明している点を先に伝えないと不信感を煽る、という意見です。
Q. 大和ハウスが地方の新築戸建てから撤退する背景は?
A動画では、新設住宅着工が2025年度の約71万戸から2040年度には61万戸へ、持家は同じ期間に約20万戸から14万戸へ減る見通しが示されています(2040年度の数値は話者がAIに予測させたものと説明)。
15年ほど前は「100万戸を割った」と住宅業界で話題になっていた水準だったとも語られています。着工数と価格競争力の地域差が全国一律の営業を難しくし、利益の幅が減っていることが背景だと解説されています。
Q. 大和ハウス撤退の真意「面積より採算を選ぶ」とはどういう意味?
A動画では、撤退の真意の一つ目を「面積より採算を選ぶ」と解説しています。
営業・設計・施工の人員を需要が堅調な地域へ重点配置すれば、効率が上がって収益が取れます。さらに高付加価値の商品開発と提案に資源を振り向け、地域別の市場規模と自社の勝ち筋を組み合わせて判断する、という内容です。
篠﨑さんは、所得層の高い地域に集中して広告宣伝費と人材を投下するほうが、回転がかかり収益性が高くなると説明しています。
Q. 大和ハウスが住宅ストック事業を強化するのはなぜ?
A動画では、二つ目の真意を「引き渡し後を事業にする」ことだと解説しています。
家は建てて終わりではなく、細く長く付き合うものです。10年ほどで水回りの不具合やシロアリ、屋根や外壁の塗装といったリフォーム需要が出てきます。大和ハウスは既存住宅の点検・修繕とリフォームを統合し、買取販売・仲介・賃貸管理まで対応を広げ、戸建てと賃貸住宅の窓口・会社機能を再編します。
建てた後も顧客とつながり、住まいの支出を受け止める狙いだと説明されています。
Q. 大和ハウスの撤退をクロスSWOT分析で見るとどう読める?
A篠﨑さんは今回の判断を「クロスSWOT分析をやった答え」と評しています。
クロスSWOT分析とは、自社の強み・弱みと外部の機会・脅威を掛け合わせて戦略を導く手法です。人口減少という脅威を機会に変えるため、ブランド力と販売力という強みで一点突破する戦略だと説明しています。購入単価の低い地域に優秀な人材を割くと収益性が下がります。
一方、首都圏や京阪神の高所得者層に絞れば1棟あたりの単価が上がり、価格の叩き合いを避けた差別化戦略になると解説されています。
Q. 大和ハウスの事例から中小企業が学ぶべき判断軸は?
A動画では4つのポイントが示されています。
篠﨑さんは、4つのうち④の撤退基準が一番大事だと述べています。
Q. 撤退できない小規模な住宅会社はどうすればいい?
A動画では、年商5億〜10億円以下の小規模なハウスメーカーは「引けない」立場なので、前に進むべきだと語られています。
そのうえで、判断軸の①〜③を徹底し、縮小・転換をしなくて済むよう考えて動いているかが問われます。
具体的には、精度の高い損益計画と、それに連動した資金繰り表を作って金融機関に示し、行動しているかです。篠﨑さんは、これができている会社はほとんどなく、できている会社が年商10億円の壁を越えていくと指摘しています。
Q. 銀行は建築業者の運転資金融資で何を確認する?
A篠﨑さんは銀行員時代の経験として、建築業者の運転資金は基本的に引当工事(特定の工事の入金を返済原資にする融資)で対応し、長期の運転資金は出さないと説明しています。
予算見積もりを誤って借入に来た会社には、工事台帳があるか、工程管理をしているか、入金をチェックしているかを確認したと語られています。商品ごとに粗利益と人員・運転資金が見合っているかを管理できていることが前提だという趣旨です。
Q. 工務店は3年計画をどう見直せばいい?
A動画では、工務店向けに4つの見直しが示されています。
新築は、地域・価格帯別に受注残と工事別の粗利益を管理します。既存住宅は、点検から修繕・断熱改修へつながる受注経路を作ります。資金繰りは、材料費・外注費の変動と入金時期を月次で確認します。人材は、協力会社を含めて施工能力の承継を見通します。
篠﨑さんは「粗利がすべて」と述べ、狙う顧客像(ペルソナ)を明確に持つことも挙げています。
Q. 家を建てた後の顧客フォローは何をすべき?
A動画では、既存住宅の受注経路を作るには、家族構成などのファミリー情報を仕入れ、定期的に訪問や連絡をすることが大事だと解説されています。
篠﨑さんは、5年・10年点検しか連絡がないのでは不十分だと指摘します。年に1回は電話、LINE、ハガキなどで「お変わりありませんか」と連絡すべきだという意見です。顧客情報を点から線、面へとつなげ、収益化までの時間軸を考えることが、多くの会社で欠けていると語られています。
Q. 大手が地方から撤退したら、地方の工務店にチャンスはある?
A動画では、大手が地方の新築から撤退すれば、地方都市で年間100戸ほどを手がける地場の有力な中小企業は生き残れるという見方が示されています。
聞き手が挙げた「残存者利益」(競合が撤退した後に残った企業が得られる利益)にも篠﨑さんは同意しています。担当する神奈川県の優秀な社長の例を挙げ、細かい経営計画を作って進めれば、より市場を取れるだろうとも述べています。
Q. 大和ハウスの事例を受けて、経営会議では何を決めるべき?
A動画では結論として、自社の「伸ばす・絞る」を数字で決めることが挙げられています。
具体的には次の3点です。地域×商品ごとに粗利益と回収期間を並べる。既存顧客からの継続収益を具体的に設計する。人材と資金を移す期限を決め、四半期ごとに検証する。最後に「売上が減っても、3年後に利益と返済原資を残せるか」という問いが投げかけられています。
解説者
篠﨑啓嗣(株式会社しのざき総研)
財務博士・元銀行員(株式会社しのざき総研 代表)。専門分野:財務・銀行融資。
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