【運転資金の借り方シリーズNo.4】当座貸越・短期継続融資が使える業種、難しい業種について元銀行員が解説します【YouTube更新】
自社の業種で当座貸越や短期継続融資は使えるのか?
動画では、決め手は業種名ではなく「構造的に立替金が発生するか」「回転期間が読めるか」だと、元銀行員の篠﨑さんが解説しています。判定の軸は4つあり、CCC(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間−仕入債務回転期間)がプラスか、季節性があるか、在庫が陳腐化しやすいか、売掛先の質はどうか、です。
本命は卸売業・商社、受注生産の製造業、季節性のある業種です。建設業・人材派遣・運送業は、案件別・月別に立替期間を示せれば条件付きで狙えるとされています。
一方、早見表では飲食業は短期継続も当座貸越も×、不動産賃貸業も短期継続は×です。飲食・小売で借入が多い場合は、短期化ではなく借換・一本化で毎月の返済負担を軽くするよう勧めています。
さらに、地銀が利用実績のない当座貸越の枠を整理している実情や、自己資本比率15%未満・欠損金が残る会社は通る確率が限りなく低いことにも触れています。
この動画の要点(篠﨑氏の発言から)
しのざき総研の篠﨑氏は
『今回の結論は、決め手は業種名ではなくて 構造的に 商売の立替金が発生するのか 回転期間が読めるのか』
と指摘する(動画 3:57 付近/当座貸越・短期継続融資が使えるかの判定基準として、動画全体の結論を示した発言。)
しのざき総研の篠﨑氏は
『ここで銀行から長期って言われたら 絶対、借りたらダメだよ』
と指摘する(動画 12:04 付近/立替金が生じやすい卸売業・商社について、長期融資では返済負担が重くなると警告した場面。)
しのざき総研の篠﨑氏は
『借りた金でキャッシュを増やすのは 愚の骨頂です』
と指摘する(動画 13:53 付近/銀行から多く借りて手元資金を厚くすべきだという主張に反論し、利益の内部留保で資金を残すよう勧めた場面。)
しのざき総研の篠﨑氏は
『季節資金はいつ返せるかが明確なんで 実は最も稟議が通りやすいね』
と指摘する(動画 17:25 付近/賞与・納税資金や季節性のある業種について、短期で組みやすい理由を述べた発言。)
しのざき総研の篠﨑氏は
『判定するのは業種じゃなく 自社の数字』
と指摘する(動画 27:57 付近/まとめで、同じ業種でも回収サイトや支払いサイトが違えば答えは変わると述べた後の締めの一言。)
よくある質問(この動画が答えていること)
Q. 当座貸越や短期継続融資が使えるかどうかは業種で決まるのですか?
A動画では、決め手は業種名ではなく「構造的に商売の立替金が発生するか」「回転期間が読めるか」だと解説されています。
回転期間を考えて精度の高い経営計画を作り、それに連動した資金繰り表を用意して金融機関にアプローチすれば、当座貸越(当貸)の枠は作れると篠﨑さんは述べています。ただし不動産業界は無理だとしています。
まとめでは「同じ業種でも回収サイト、支払いサイトが違えば答えは変わる」とし、判定するのは業種ではなく自社の数字だと締めくくっています。
Q. 運転資金のCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)とは何ですか?計算方法は?
A動画では、CCCは「売上債権回転期間+棚卸資産回転期間−仕入債務回転期間」で求め、経常運転資金(事業を回すのに常に必要な資金)のことだと説明されています。
棚卸資産(在庫)の回転期間は仕入れ・製造から売れるまで、仕入債務の回転期間は仕入れてから支払うまで、売上債権の回転期間は売れてから入金されるまでの時間です。CCCがプラスなら運転資金が発生します。
マイナスなら構造的に運転資金は要らず、それでも借入があるなら使い道は運転資金ではなく赤字補填などだと指摘されています。
Q. 運転資金の必要額は直近の決算書だけで判断されるのですか?
A動画では、銀行員は直近決算のCCCで電卓を叩き、運転資金が「必要だ、必要じゃない」と判断しがちだが、それは違うと指摘されています。
本来の財務的な見地では、未来とのギャップをどう埋めるかが資金調達です。売上が2倍、3倍と伸びればCCCも増えるので、精度の高い経営計画と、それに連動した資金繰り表=予想貸借対照表で示すべきだとしています。
予想貸借対照表のCCCが読めないと、運転資金として本当に必要な金額がわからなくなると注意しています。
Q. 飲食店は当座貸越や短期継続融資を使えますか?
A動画の業種別早見表では、飲食業は短期継続融資も当座貸越も×(原則として難しい)とされています。
売上は現金で入る一方、業者への支払いは1週間後〜1ヶ月後なので、運転資金がマイナスになるためです。篠﨑さんは「飲食業で運転資金なんて100%いらねえよ」と述べています。拡大期についても、出店に自己資金を投じて手元資金が減っているだけで運転資金ではないとしています。
店舗展開が速いと金融機関は疑うものの、うまく回っていれば一気に融資するとも語っています。
Q. キャッシュレス決済が増えた飲食店でも、運転資金の融資は受けにくいのですか?
A動画では、聞き手からの「なんとかペイが増え、現金商売の特性が薄れているのでは」という質問に答えています。
PayPayなどの入金は2週間ぐらいで、1ヶ月の立替にはならないため、飲食店はやはり現金商売だという回答です。ただし新店を出すとき、什器や設備を銀行から全額借りられず、割賦やリースにも限界があり、自己資金を出して手持ちキャッシュが薄くなる場合は「ケースによってはあり」としています。
その場合も、仮説に基づいて説明できる根拠がなければ話にならないとしています。
Q. 在庫や売掛先は、当座貸越・短期継続融資の審査にどう影響しますか?
A動画では、流行や賞味期限に左右される在庫は評価減を疑われ、枠が減る可能性があると解説されています。
一方、オフシーズンの手前で損切りをして不良在庫を残さず、それでも利益を出している会社は評価され、同じ資金を繰り返し使えます。損切りの結果、経常利益が赤字になれば融資は受けられないが、1回だけならセーフだとしています。
売掛先については、上場企業・官公庁向けの売掛は担保価値が高く、一般消費者向けの未収は評価されないと説明されています。
Q. 短期の運転資金融資に最も向いている業種は何ですか?
A動画では、最も適した業種として卸売業・商社が挙げられています。
売掛と在庫が同時に膨らむ構造で、経常運転資金が大きく、資金の使い道を説明しやすいためです。理由は4つで、仕入代金の支払いが売掛金の回収より先に来る、売上が伸びるほど立替金が増える(増加運転資金)、在庫と売掛の残高が月次で追える、取扱高に連動するので金額の根拠を示しやすい、です。
銀行から長期融資を勧められても、返済負担が重くなり首が絞まるので借りてはいけないと強調されています。
Q. 卸売業が短期融資を銀行と交渉するときのポイントは?
A動画では、交渉のポイントとして4つが示されています。
経常運転資金を3期分並べて常に必要な金額を示す、主要な仕入先・販売先の支払・回収サイトの一覧を出す、滞留在庫がないことを在庫明細で証明する(「これが意外とできない」と指摘)、季節の山がある分は別枠の季節資金で申し込む、です。
卸売業で運転資金を長期の証書貸付(期間と返済方法を定めた借入)で組んでいるなら、真っ先に見直すよう助言されています。
Q. 製造業や季節性のある業種で短期融資が組みやすいのはなぜですか?
A動画では、受注生産の製造業は原材料の仕入れから入金まで数ヶ月かかり、仕掛品(製造途中の品)として資金が寝る時間を明確に説明できると解説されています。
食品・農産加工は収穫期に一括仕入れが発生し、アパレル・季節商材はシーズン前の生産・在庫積み増しが読めます。ただし売れ残りの評価減リスクは説明が必要です。賞与・納税資金も支給・納付の時期と金額が確定しています。
季節資金はいつ返せるかが明確なので「実は最も稟議が通りやすい」一方、長期で借りているケースが非常に多いと指摘されています。
Q. 輸出業の消費税還付資金は銀行から借りられますか?
A動画では、聞き手の質問に答える形で、税金の還付などで資金が必要なときに納税資金を出してくれるのは、おおむねメガバンクだと述べられています。地銀については明言を避けています。メガバンクは提案を持ってきてくれることが多く、質問にも即答するとし、それは責めているのではなく経験の差だと説明しています。
Q. 建設業・人材派遣・運送業は当座貸越や短期継続融資を使えますか?
A動画では、この3業種は「条件付き」とされています。
建設業は着工から出来高入金まで立替が発生します。工事別の資金繰り表が必須で、つなぎ資金として期日一括返済が本来の形であり、赤字工事の有無は必ず問われます。人材派遣は給与を先に払い、請求は翌月以降なので売掛の立替が大きく、売掛先が大手なら評価が高い一方、社会保険料の滞納があると一気に厳しくなります。
運送業は燃料費・外注費が先に出ていき、回収サイトが長いほど理屈が立ちます。車両は設備資金として別建てにします。案件別・月別に資金がいつ出ていつ戻るかを示せれば、短期の枠は十分狙えるとしています。
Q. 業種が条件を満たしていても当座貸越が通らないのはどんな会社ですか?
A動画では、既存の財務状況が悪い会社は通る確率が限りなく低いと解説されています。
例は、直近で営業利益が赤字で今期も着地が見込めない、自己資本比率が15%未満、繰越利益剰余金にまだ欠損金が残っている(「風邪がまだ完治していない状態」と表現)といった状況です。決算書の中身が悪い場合や、社長に一定レベルの資産背景がない場合も金融機関はやらないとしています。
◎や○の業種でも、短期で組めるのは経常運転資金の範囲までです。まず未来の予測で自社の金額を算定するよう求めています。
Q. 小売業・不動産賃貸業・医療介護は短期融資を使えますか?
A動画では、現金販売中心の小売業は在庫はあるものの売掛がなく、在庫見合いの短期は組めても金額は限定的とされています。
不動産賃貸業は賃料収入が安定しており、物件取得は設備資金として長期・元利均等で借りるのが合理的なので不要で、短期継続は基本的に×です。医療・介護は診療報酬の入金が2ヶ月後で立替はありますが、入金が確実なため短期の枠が出やすい部類で、公的機関からも融資を受けられるとしています。
インターネット通販の小売業は、内容が良ければ当座貸越を借りられているものの「絶対じゃない」と述べています。
Q. 飲食店や小売店で借入が多い場合、どう対処すべきですか?
A動画では、飲食・小売で借入が多い場合、その資金使途は運転資金ではなく設備資金だと指摘されています。運転資金名目で借りているなら、間違いなく赤字補填だとしています。この状態で短期融資を申し込んでも通らないので、短期化ではなく、借換・一本化で毎月の返済負担を軽くする方向で考えるよう助言されています。
Q. 地方銀行が当座貸越の枠を解約しているのはなぜですか?
A動画では、関東の地銀で、黒字なのに当座貸越の枠を強制的に解約されたという相談事例が紹介されています。
篠﨑さんが元同僚の銀行員に聞いたところ、使われずに放置された当貸は、困ったときに使われてベタ貸し(返済されないまま借りっぱなし)になり、返済できなくなるおそれがあるとのことでした。そのため地銀は、利用実績のない枠をおおむね整理しているそうです。
会社の内容は関係ないので、定期的に枠を使うことが必要で、安易な気持ちで枠を作るのはやめた方がいいと述べています。
解説者
篠﨑啓嗣(株式会社しのざき総研)
財務博士・元銀行員(株式会社しのざき総研 代表)。専門分野:財務・銀行融資。
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