【社長が知りたい銀行融資No4】金利ある世界の経営術|金利を下げる5つの正攻法について元銀行員が解説します【YouTube更新】
自分の会社の金利は高いのか安いのか、そして金利を下げるには何をすればいいのか
高い・安いは他社比較では決まらず、「平均調達金利=損益計算書の支払利息 ÷ 期中平均借入残高」で自社の数字を出し、自社の格付と保全に見合っているかで判断します(例:支払利息240万円 ÷ 期中平均借入残高1億2,000万円=2.0%)。
金利のある世界では、変動金利の借入が短期プライムレートの改定に連動して自動的に上がるため、何もしなくても利益が削られます。1億円で0.5%なら年50万円、1億2,000万円で+1%なら年120万円(返済原資1,200万円の10%)の負担増です。
金利差を生む理由は①信用格付・債務者区分 ②保全 ③融資期間 ④取引シェアと取引量 ⑤調達手段の違いの5つで、今日から動かせるのは②と④。打ち手も①格付を上げる ②保全を提示する ③借換提案を取る ④期間と使途を見直す ⑤取引を整理する、の5つが示されます。
動画では「他行は1%と言ってる」だけの交渉が最も嫌われ、必ず根拠と差し出す材料をセットで持っていくべきだと解説されています。
この動画の要点(篠﨑氏の発言から)
しのざき総研の篠﨑氏は
『社長が動かせるのは 信用コストと 保全、担保の2つだけです』
と指摘する(動画 2:33 付近/金利を構成する4つの部品のうち、経営者が手をつけられる範囲を示した本編の結論部分)
しのざき総研の篠﨑氏は
『「金利を下げてください」ではなく 「信用コストを下げる材料を 持ってきました」と言う 銀行員の稟議はそこで書けるんで』
と指摘する(動画 8:26 付近/貸出金利の4分解を解説したうえで、交渉の切り口を銀行員の稟議の書き方から逆算して示した場面)
しのざき総研の篠﨑氏は
『この1本の数字が、 自社の信用力に対する市場の答え』
と指摘する(動画 17:14 付近/支払利息÷期中平均借入残高で算出した平均調達金利(例では2%)の意味を説明した場面)
しのざき総研の篠﨑氏は
『他行とも取引をちゃんとしながら 金利を下げるってことを考えるんよ じゃないと 切られるからね』
と指摘する(動画 22:06 付近/借換提案を交渉材料に使う際の注意点。メイン行の軸を押さえる重要性を説いた場面)
しのざき総研の篠﨑氏は
『「他行は1%と言ってる」 だけの交渉が、一番切られる 根拠ねえじゃん 必ず根拠と、こちらが差し出す材料を セットで持っていくってことが大事です』
と指摘する(動画 24:27 付近/金利を動かす5つの正攻法を解説したあとの、交渉姿勢についてのまとめ)
よくある質問(この動画が答えていること)
Q. 銀行の貸出金利はどうやって決まっているのですか?
A動画では、貸出金利は「調達コスト+経費率+信用コスト+利ざや」の4つの部品でできていると解説されています。
調達コストは銀行が預金や市場から資金を集めるコストで市場金利に連動し、経費率は人件費・店舗・システムなどの運営コストを融資1件あたりに割り振ったもの。この2つに交渉の余地はありません。
残る信用コスト(貸し倒れに備える見積もりコストで、格付と保全=担保で決まる部分)と、利ざや(銀行の取り分で、取引全体の採算や預金量で調整される部分)が、交渉でどうにかなる可能性のある部分だとされています。
Q. 金利が上がる局面で、経営者は何に気をつければいいですか?
A動画では3点挙げられています。
まずは自社の借入の変動・固定の内訳を確認することが最初の一歩だと促されています。
Q. 金利のうち、社長が実際に動かせるのはどこですか?
A動画では、金利を構成する4つの部品のうち社長が動かせるのは「信用コスト」と「保全(担保)」の2つだけだと明言されています。
また金利差の5つの理由(①信用格付・債務者区分 ②保全 ③融資期間 ④取引シェアと取引量 ⑤調達手段)でいえば、今日から動かせるのは②保全と④取引シェア・取引量。①は決算対策で、③は借り方の設計で変わるものだと整理されています。
Q. 業績が同じように見えても会社によって金利が違うのはなぜですか?
A動画では5つの理由が挙げられています。
そのため金利は一概に他社と相対比較できないと述べられています。
Q. 自社の金利が高いか安いかは、どうやって判断すればいいですか?
A動画では「平均調達金利=損益計算書の支払利息 ÷ 期中平均借入残高」で計算するよう解説されています。
例として支払利息240万円、期中平均借入残高1億2,000万円なら平均調達金利は2.0%。期中平均残高は期首残高と期末残高を足して2で割り、短期と長期を合算し、役員借入金は除いて計算します。
この1本の数字が自社の信用力に対する市場の答えであり、定点観測して低くなっていけば銀行からの見られ方が良くなっている証拠として交渉材料にも使えるとされています。
Q. 銀行の金利を下げる方法にはどんなものがありますか?
A動画では5つの正攻法が挙げられています。
Q. 他行の借換提案を金利交渉のカードに使ってもいいですか?
A動画では、他行から具体的な条件提示を取ってメイン行に相談し、根拠として使う方法は正攻法の一つとして挙げられています。
ただし銀行は「金利で動く社長」を非常に嫌うため、メイン行という軸を押さえたうえで、他行とも取引をきちんとしながら下げることを考えるべきだと釘を刺されています。それをしないと切られる、と。安易に「借換」を勧める発信への苦言も述べられています。
Q. 銀行に嫌われる金利交渉の言い方はどんなものですか?
A動画では「他行は1%と言ってる」だけの交渉が一番切られると解説されています。
根拠がないからです。また、調達コストなど交渉の余地がない部分について銀行を叩き続け、カスハラのような言い方をすると、銀行側も強気で「取引しない」と言い切ってくるとのこと。必ず根拠と、こちらが差し出す材料をセットで持っていくことが大事だとされています。
Q. 預金を置くことは金利にどう影響しますか?
A動画では、利ざやは預金や他の取引の量で調整されるため、金融機関が預金を欲しがっている点はヒントとして押さえておくよう述べられています。
ポイントは、借りたお金を預金するのではなく、他行に入っている預金を移すこと。
担保に入れなくても「見合い」として効き、流動性預金として売掛金の入金指定口座を変えるのが一番よく、それが難しければ半年〜1年、残高をあまり減らさないよう定期的に入金すれば実質金利が上がり、貸出コストが下がる可能性があると解説されています。
Q. 借入期間が長いと金利は高くなるのですか?
A動画では、融資期間が長いほど金融機関がリスクを取る期間が延び不確実性が高くなるため、金利は高くなると解説されています。
10年より5年、5年より1年。ただし短期で借りるときはケースによって短期プライムレート連動になることがあり、その場合はTIBOR連動よりも高くなるケースがあるので注意が必要だと補足されています。
Q. 決算書の勘定科目を入れ替えて格付を上げるのは有効ですか?
A動画では、決算書の勘定科目を入れ替えて格付を上げようとする手法は「デタラメ」と否定されています。
出てきた決算書で勝負するしかないという立場です。ただし、実際には存在しない貸付金や仮払金が税理士の勘違いや思惑で仕訳されているなど、誤解を招く勘定科目がある場合は、それが本当に誤解を招いていたものかを理解したうえで決算書を出すべきだとしています。
本筋は実態貸借対照表の改善で、不良在庫・社長貸付・仮払金の整理と増益。効果が出るのは次の決算後で、1〜2年かかります。
Q. 変動金利と固定金利はどう使い分ければいいですか?
A動画の結論は、標準金利が右肩上がりの局面では固定はあまりしない方がいい、というものです。
経済の原理原則が変動だから、という理由。日銀が1%から1.25%に上げれば長期の標準金利は3.5%程度になり、そこにスプレッド0.3〜0.5%が乗れば4%になる計算です。変動が向くのは短期資金・経常運転資金・つなぎ資金で、返済原資に余裕があり上昇を吸収できる会社。
固定が向くのは設備資金・長期の事業資金で、DSCR(元利金返済カバー率)に余裕がなく返済額を固定したい会社。固定は低下局面では割高になり、中途解約に違約金が出ることもあります。
Q. 金利が1%上がったら、自社の利益はいくら減りますか?
A動画の試算では、借入1億2,000万円で金利が1%上がると年120万円の負担増になります。
返済原資1,200万円の会社なら、その10%が消える計算です。そのうえで「金利が1%上がったら、うちはいくら利益が減るのか」という1行を出しておくことが判断のすべての起点になると述べられています。
ただし負担になることばかり考えるのではなく、それをどう吸収するかを経営戦略として考えることがポイントだと強調されています。
解説者
篠﨑啓嗣(株式会社しのざき総研)
財務博士・元銀行員(株式会社しのざき総研 代表)。専門分野:財務・銀行融資。
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