【銀行新規開拓シリーズNo.2】新規融資が通らない本当の理由|稟議の重さを元銀行員が解説します【YouTube更新】
新規融資の稟議はなぜ通らないのか?
既存先は返済履歴や入出金の動きで判断でき、すでに格付けもあり、支店内決裁で完結する案件もある一方、新規先は取引実績ゼロで資金の流れが行内から一切見えず、格付けの付与、実在性・反社確認まで一からで、本部決裁に上がりやすい。結果、既存先なら数日で回る案件が新規先では数週間かかるとされています。
さらに本部へ上げる前段では、支店長が「資金使途は明確か/なぜ当行なのか/メイン行の対応/エリア・業種の取扱方針/通る確率は何割か」の5点で判断し、否決の稟議は書かせないため、多くの飛び込み案件は稟議書が1行も書かれないまま終わると説明されます。
求められる資料は3期分の決算書、直近の試算表、資金繰り表、全行の借入金明細、商流・取引先の説明、代表者の経歴・個人資産の一式。支店には新規開拓の目標(ノルマ)があり需要はある、問題は案件の届き方だ、というのが動画の主張です。
この動画の要点(篠﨑氏の発言から)
しのざき総研の篠﨑氏は
『新規先の稟議は 既存先より数段重い だから支店は入り口で切っちゃうんですね』
と指摘する(動画 1:04 付近/第2回の結論として、新規融資が支店段階で止まる構造を提示した場面)
しのざき総研の篠﨑氏は
『既存先なら数日で回る案件が 新規先では数週間かかるというのは 覚えておいてください』
と指摘する(動画 3:34 付近/既存先と新規先の稟議の手間の差を比較した締めくくり)
しのざき総研の篠﨑氏は
『支店長は否決の稟議を書かせない 部下の時間と支店の決裁率が下がるから』
と指摘する(動画 5:58 付近/稟議に上げる前に支店長が判断する5点のうち「通る確率は何割か」の解説)
しのざき総研の篠﨑氏は
『この一式が揃ってないと 担当者は稟議を 書き始められないんだよ』
と指摘する(動画 11:19 付近/新規融資で追加提出を求められる資料6点を挙げた直後)
しのざき総研の篠﨑氏は
『新規融資が通らないのは 銀行が貸したくないからではないんですね 稟議を書く担当者が 「書けない」からなんですね 書ける材料を 書ける形で先に渡す それが紹介という仕組みの正体です』
と指摘する(動画 16:40 付近/動画のまとめ「篠崎の視点」として語られた結論)
よくある質問(この動画が答えていること)
Q. 新規融資の稟議が通らない本当の理由は何ですか?
A動画では、新規融資が通らないのは銀行が貸したくないからではなく、稟議を書く担当者が「書けない」からだと解説されています。
新規先の稟議は既存先より数段重いため、支店は稟議に上げる前の入り口で切る。だからこそ「書ける材料を、書ける形で先に渡す」ことが必要で、それが紹介という仕組みの正体だとまとめられています。
Q. 既存の取引先と新規先では、銀行の見方はどう違うのですか?
A動画によると、既存先は取引実績があるため返済履歴で判断でき、入出金の動きから資金繰りがある程度見え、すでに信用格付けが付与され、担当者が業況を自分の言葉で説明できます。
額が小さければ支店内決裁で完結し、資料も決算書の追加提出で足りることが多い。対して新規先は取引実績がなく返済姿勢が分からず、資金の流れが行内では一切見えず、格付けをゼロから付与する必要があると説明されています。
Q. 新規融資の審査はどれくらい時間がかかりますか?
A動画では「既存先なら数日で回る案件が、新規先では数週間かかる」と明言されています。
理由は、格付けをゼロから付与する必要があること、担当者が会って数回で本部への説明を求められること、本部決裁に上がりやすいこと、そして実在性・反社の確認まで一から必要になることです。反社は口座開設後に判明すると金融庁から処分を受けるため、相当な確認をしていると語られています。
Q. 飛び込みで融資を申し込むと、稟議書は書かれないのですか?
A動画では、まず支店の中で扱うのは「融資申込書」で、その借り入れ申し込みをやるかどうかを支店長が判断し、そこから先の稟議は本部宛てだと説明されています。支店ベースで断ってしまえば本部に上げる稟議はなく、多くの飛び込み案件は稟議書が1行も書かれないまま終わっているケースがある、とされています。
Q. 支店長は何を基準に「稟議を書かせるか」を判断しているのですか?
A動画で挙げられているのは5点です。
特に①から④を、言われなくても一気通貫で説明できる資料として出せているかどうかが分かれ目だと語られています。
Q. 「なぜ当行なのか」を聞かれるのはなぜですか?
A動画では、企業は必ずどこかの金融機関と付き合っているという前提があるため、「なんでうちに来たんですか」が明確に理解できなければ貸せない、と説明されています。
保証協会が付くから貸すという話でもない、そんな甘い話ではないと断言されています。逆に紹介であれば経緯が分かるため、疑念の段階を飛ばせるとされています。
Q. エリアや業種が銀行の方針に合わないとどうなりますか?
A動画では、支店ごとに営業エリアがあり、本部にも業種別の方針があるため、方針外は入り口で対象外になると説明されています。実例として、県外店の地銀で「不動産・建設・飲食はNG」とされ、内容の良い運送業を紹介した実績があっても、不動産の案件を紹介したら速攻でダメですと返ってきたエピソードが語られています。
Q. 支店長が否決になりそうな稟議を書かせないのはなぜですか?
A動画では、支店長は否決の稟議を書かせない、その理由は部下の時間が奪われ、支店の決裁率が下がるからだと説明されています。店内協議で支店長が「ダメだ」と言えば案件は取らず、しかも「支店長が断りました」とは言えないので本部のせいにするなど、外からは見えないやり取りがあるとも語られています。
Q. 他行肩代わりに銀行が慎重になるのはなぜですか?
A動画では3つの理由が挙げられています。
肩代わりは「取れたら勝ち」ではなく「背負う」案件として扱われる、とまとめられています。
Q. 新規で融資を申し込むとき、どんな資料を求められますか?
A動画で挙げられているのは6点です。
この一式が揃っていないと担当者は稟議を書き始められないと説明されています。
Q. 決算書だけでなく試算表も必要ですか?
A動画では、決算から3ヶ月経過していれば直近の試算表は必ずマスト要件だと述べられています。試算表がないまま新規の銀行へ行けばバカにされる、数字の鮮度が問われる、と説明されています。また全行の借入金明細も返済予定表とセットで、他行取引の全体像を隠すと一気に信用を失うとされています。
Q. 個人の資産背景を銀行に開示すると担保に取られませんか?
A動画では、経営者から「個人の資産背景を言ってしまったら担保に取られる」と言われることがあるものの、実際には取らないと説明されています。
純金積み立てや投資信託を担保に取れるのかという問いかけがあり、生命保険はケースバイケースで取れるが、基本的に取りはしないと語られます。経営者保証の要否判断も含めて人となりが審査対象になるため、個人の資産背景の裏付けはすごく大事だとされています。
Q. 銀行の支店に新規開拓のノルマはあるのですか?
A動画では、支店には「目標という名のノルマがある」と語られています。
帝国データバンクなどの情報や引き継ぎ書を見て未開拓の儲かっている先を探したり、既存の取引先を訪問して儲かっている経営者を紹介してくれと依頼したりする、と説明されています。つまり需要はあるが、届き方が間違っているだけだというのが動画の指摘です。
Q. 銀行が歓迎する新規先とはどんな先ですか?
A動画によると、銀行が欲しがる新規先は、
紹介であれば疑念の段階を飛ばせ、担当者がそのまま稟議を書ける状態で資料が届くため審査工数が大幅に減り、紹介元の実績で案件の信頼度も上がり、支店の新規開拓目標にも合う、と解説されています。
解説者
篠﨑啓嗣(株式会社しのざき総研)
財務博士・元銀行員(株式会社しのざき総研 代表)。専門分野:財務・銀行融資。
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